この格言の意味するところは、努力をしないで神様をあてにして「天は助けを求める者を助けてくれる」という意味ではなくして、本来は「神は、他人の助けをあてにせず、自分自身で努力する者を助ける」ということであって、「誰にも頼らないで、自ら努力をしている人は必ず報われる」という意味であると思います。
この格言は、イギリスの作家スマイルズ(1812~1904)が『セルフ・ヘルプ(自助論)』の中で説いた言葉であり、日本では明治4年(1871)、当時の思想家である中村正直(まさなお)という方が『西国立志編(さいごくりっしんへん)』として翻訳して出版し、多くの人々に影響を与えたという(明治期にこの本は100万部売れた)。
これは国家が自立するためには国民一人一人が国の自立の認識に立脚して、お互いに努力し、助け合うことの重要性を説いた本であり、偉人数百人の生き方を取り上げてわかりやすく書かれたものでした。
シオンで雇用されている職員一人一人もまさに一緒で、自分自身精一杯努力して、シオンの自立の為に全職員がお互いに努力して助け合うことで自分が所属している「シオンの家」が素晴らしく成長して、そこで働いていることに誇りを持てるようになると思います。
この格言にあえて「他を助くる物は さらに助く」と追加分を入れたい。というのは我々介護従事者はその本分が自己実現=利用者様の幸福であるからです。
その真意とするところは、天は、神は、「自己利益」だけを目的として、自分だけが助かりたいとする自己中心の努力をする者に対しては、「いざ」という時には助けてくれないような気がすることと、自分の為だけには、継続して努力することはできないからです。
「私は本当に介護の仕事に向いている人間なのか?」素朴な疑問を抱く時が、誰しもあると思います。そのような時はおそらく仕事上の壁にぶつかっている時ではないでしょうか?誰もがそれぞれの適性を発揮できる仕事が与えられたら、これほど嬉しいことはないと思います。しかし、最初から天命と思える職に就ける人はそうそういないと思います。だからといって、転々と仕事を変えていっても答えは出ないのかもしれませんね。…ではどうすれば良いのか?ひとつ言えることは、「余計なことは考えずに、今目の前にいらっしゃる利用者様に仕え、精一杯の努力をする」ただそれだけだと思います。介護の仕事が自分に合うかどうかは、その先にある気がしてなりません。本気で取り組んでいるうちに、今まで感じなかった面白みが生まれてくるのではないでしょうか?そこから先が天職の入り口のような気がします。どんな分野の仕事も「この仕事は天職です。」と自信を持って言っている人は、何年も何十年もその発言ができるまでの間に相当な努力や忍耐を成し、人間的に揉まれてやっと天職に出会ったのではないでしょうか。迷いを抱きながら仕事を選ぶのではなく、仕事に自分を選んでもらうことが大事ではないでしょうか!今日という一日を精一杯充実感をもって仕事のできる人は、その人自身が天職の器だと思います。