普通のサラリーマンとして過ごしていた30代半ば、今の仕事に疑問を感じ退職を決めました。次にどんな仕事につくか自問した私はひとつの考えに行き当たりました。それが介護の仕事でした。私は子供の時から祖父母と一緒に生活してきました。そして祖父母の死を経験してきました。そんな中、自分の中で老いや死への畏怖のようなものが芽生えました。自分が老いたらどうなるのか、死ぬとはどういうことなのか。それを知る為に一番近い場所が介護の世界だと思ったのです。
接客業を長年していた私は人とのコミュニケーションには自信がありましたし、まさに人と接する介護の仕事は向いているに違いないと感じていました。今思えば思い違いも甚だしく、当時の自分が哀れでなりません。介護の仕事は慢性的な人手不足と聞き、いつでも職に就けると思っていました。しかし何社介護施設の面接を受けども帰ってくるのは不採用通知ばかり。今思えば経験もない30半ばの男性を採用するリスクはどこも取れなかったでしょう。もう自信もなくなり諦めかけていた時にシオンの家が私に門戸を開いてくれました。自信もプライドも失くした私はチャンスをもらったこの職場でがむしゃらに働こうと決心しました。勤めながら社会福祉主事と介護福祉士の資格も得ることが出来ました。
最後に自分が老いて介護が必要になった時、シオンの家を自分自身が入りたい施設、ここでなら最期まで自分らしく輝いて生きられると思える施設となる様にしたい。いつの日か若い職員達が朝礼で「今日から利用者ですが、普段と変わらない対応をして下さい」と言われて、いつの間にかシオンの家の住人になることが私の望みです。
病院勤務の経験しかない私が、シオンで働き始めて最初の第一印象は、利用者さんが自然体で生活をしていて、温かいと感じたことです。次に施設内の尿臭がしない、口腔内がきれいに保持できていると思いました。
介護とは老人が生活の主体なので、今でも医療や看護と介護の違いに、難しさや奥深さに悩まされてしまいます。看護が前面にでてしまうと、老人が管理されてしまいます。
施設での看護は、いざというときに頼りになる存在で、縁の下の力持ちであって欲しいと思います。 しかしそのいざとなったときは、在宅でも病院と同じようにケアを行って、介護のできる看護師でありたい・・・
シオンでは、医療を必要とする老人も大半で医療機関の協力なしでは、成り立ちません。各医療機関、家族、ケアマネジャーさんと連携をとり質の高いケアを提供し情報の共有をしていきます。私が目指すものは、「老い」にしっかりと寄り添うことです。生活リハビリという考えのもとで、寝たきりにしないためにそれまでの生活習慣を、大切にしていきたいです。
正しい食事姿勢で椅子に座っての食生活と口からおいしものを食べる、トイレでの排泄、あったかお風呂に肩までつかる、そんな当たり前の普通の生活を援助していくことを基本にしています。 今まで生きてきた時代背景や生活歴を知り、信頼関係を築き意欲を引き出し、QOLの向上を行うことは重要になってくると思います。
利用者さんのやりたいことや、どこに行きたい、あれが食べたいなど個別のニーズに、柔軟に対応できる看護師でありたいと思っています。
一期一会を大切に、あの時あんなふうにしておけば良かったと、後悔のないようにしたいです。 シオンの家を利用されている全ての利用者さんが、生きがいがあり、安心して満足できる生活が送れるように、援助していきます。
シオンの家で沢山の利用者様と出会いました。毎日の生活の中で、利用者様の笑顔やお言葉に支えられ、私自身が元気をいただきながら、日々成長することが出来ています。
利用者様を通してご家族の方とふれあう機会も多く、私たちの知らない利用者様の一面や、ご家族の思い、願いを知ることもあります。ご家族の顔を見て、嬉しそうな表情をされる利用者様を見ると、私たちも心が和み、利用者様の為にもっと何ができるのだろうかと考えさせれます。
利用者様に毎日、安全で安心し穏やかな気持ちで生活できる場を提供していくことは勿論、もっと利用者様の笑顔や楽しみを増やしていけるよう、職員みんなでアイディアを出し合いながら取り組んでいかなければと思います。
また、行事やレクリエーションを通して、利用者様やご家族の皆様が一緒に楽しい時間を過ごせる企画も増やしていけたらと思います。
今後も利用者様一人一人の個人を尊重し、同じ時間を共有していく中で温もりを感じていただけるような雰囲気作りにも努めていきたいと思います。
私のシオンの家との出会いは、現在5歳になった長男を出産して1年たたない頃だったと思います。
子供は保育園を利用しており、まだ小さかった為、保育園側から土・日、祝日は預けないで早く迎
えに来るよう言われていました。それは、園長の子供への気持ちの強さからでした。
私も初めての子供で、職場復帰には少し抵抗がありましたが、家庭の状況もあり求職活動をしていた際に、パートで働け、休みは相談できるという、シオンの家の求人を見つけました。ダメかもな・・・と思いながらも、面接をしていただき、私の条件ものんで頂いて、シオンの家での採用のお返事を頂いたときは、とても嬉しかったことを思い出します。
四年程シオンの家には縁して頂いていますが、その中で2人の子供を出産し、たびたび子供の病気等でお休みを頂くこともありました。そんな時も、スタッフの皆さんが快く受け入れてくださったからこそ、今もシオンで働き続けられているのだと思います。シオンの家、そしてスタッフの皆さんに心より感謝しています。
これからも、一生懸命利用者様を中心とし、自分も成長していきながら頑張ろうと思います。